楽天ポイントクーポンとレシートデータで販促を支援
実店舗のお買い物をもっとエンタメ化
コマース&マーケティングカンパニー
楽天市場事業 市場広告部
クーポン課 シニアマネージャー
山口 高志さん
2019年にサービスを開始した日常のお買い物のレシート送信で楽天ポイントが貯まる「Rakuten Pasha」。
サービスの立ち上げ時から事業を牽引されていらっしゃる楽天グループ株式会社の山口様に、Rakuten Pashaの魅力やアイエスピーのレシートサービスをどのようにご活用いただいているかについてお伺いしました。
山口さんが担当されているお仕事について教えてください。
山口さん:私の部署は、多くの皆さんにご利用いただいているインターネット・ショッピングモール「楽天市場」の事業の下で「Rakuten Pasha(楽天パシャ)」というオフラインでのお買い物がお得になるサービスを展開しています。「Rakuten Pasha(楽天パシャ)」は楽天の新規事業として、2019年にスタートしており、ECであたりまえになってきていることをオフラインでもあたりまえにできないか、という視点から取り組んでいます。
例えば、「楽天市場」では、「Shopping is Entertainment!」をコンセプトに、ユーザーにお買い物を楽しんでいただくことを大切にしていますが、「Rakuten Pasha」は実店舗でのお買い物もエンターテインメントに繋げられるよう、「いつもの買い物をちょっとお得にもっと楽しく」を実現できるサービスづくりを目指しています。
「Rakuten Pasha」は、どのようなサービスなのですか?
山口さん:簡単に言うと、街のお買い物で「楽天ポイント」がもらえるサービスで、「クーポン」と「きょうのレシートキャンペーン」の2つの機能があります。クーポンは、購入前に事前にGETしたクーポンの対象商品を購入する際に、1)一部の対象のお店では楽天ポイントカードを提示、または2)購入レシートを撮影して送信すると楽天ポイントがもらえるサービスです。また、「きょうのレシートキャンペーン」では、お買い物をした当日中にレシートを送信すると楽天ポイントを獲得できます。
あらゆる小売店のレシートをアイエスピーさんのOCRで解析し、解析結果から対象商品を購入しているかを判定するためにレシデータサービスを活用しています。
楽天グループでのサービスの位置付けを教えてください。
山口さん:楽天グループには、オンライン以外でも使える楽天ペイや楽天ポイントカードなどのオフラインのサービスがありますが、「Rakuten Pasha」を始める2019年以前は、メーカーの特定ブランドを指定して販促を行えるサービスがありませんでした。「Rakuten Pasha」は、その領域を切り拓く突破口をつくるスタートアップのような存在であり、楽天グループがオフラインでの価値提供を強化する上で、重要な要素の一つです。
「Rakuten Pasha」のサービスの魅力は、どのようなところですか?
山口さん: サービス開始初期は、ユーザーの皆さんにとって、これまで何のポイントにもならなかったレシートが、楽天ポイントという金銭的価値があるものに変わる、というところを評価いただきました。
特に先ほどお話しをした「きょうのレシートキャンペーン」では、その日のお買い物のレシートを送信するだけという、行動の反復性と日常性がある体験をサービスのベースに付随できたことが強みだと思います。
また、クーポンにおいても、店頭で提示することが必要な小売を限定したクーポンが多い中で、該当商品の購入であれば小売は問わずレシートを送信するだけでポイントがもらえるという体験もユニークとなっています。2022年より、一部のお店では、楽天ポイントカード提示するだけで、あとでレシート送信が不要になる体験も追加しており、これまでレシートを送ったことがない方々も、事前にクーポンをGETするだけであとはいつものお買い物でポイントがもらえることとなり、利便性が高まっています。
このように、わかりやすくお得さを感じることができる体験を、ユーザーの皆さまに提供できたことが大きな魅力になっているのではないでしょうか。
サービス開始時期のサービスフロー
(https://adsales.rakuten.co.jp/news/detail/2019_05_pasha.htmlより)
クライアントとなるメーカーや流通のメリットや反応はいかがですか?
山口さん:これまでのメーカーのオフラインの販促では、店頭を巻き込んで2~3ヶ月前から準備することが一般的でした。「Rakuten Pasha」のオフラインクーポンは、デジタルの強みを活かし、店舗調整の手間が発生しないため早く実施でき、さらに成果報酬型なのでコスト効率性が担保された形で実施できることがメーカーや小売店舗にとって大きなメリットです。
また、これまでは全員一律で実施するしかなかった販促キャンペーンですが、楽天の場合、楽天会員ID基盤に基づきセグメント別にインセンティブ額を変えた施策も喜ばれています。
レシートデータはどのような活用法やニーズがありますか?
山口さん:集めた膨大なレシートデータは、販促キャンペーン前後での顧客行動の分析に活用しています。
例えば、食品メーカーの場合、自分たちの商品を誰が買っているのか、単独ブランドで利用されているのか、複数のブランドをクロスして使い分けているのか、ヘビーユーザーとライトユーザーの違いは属性の違いなのか、といった分析をするための顧客データが持てていません。また、そのようなデータを自分たちで収集するには、コストも時間も見合いません。
それに対して、当社ではレシートのデータを販促キャンペーン実施時だけでなく、通常の購買時も保持しているので、キャンペーン実施の1ヶ月前も買っていたのか、日頃はどんな他社製品を買っている人なのか、その後も買ってくれているのか、リピートしてくれているのか、といったデータも連続的に見ることができます。自由に利活用できるレシートデータであれば、小売店を横断した競合店舗のデータが収集できるので、マーケティングの仮説や戦略の立案に活用できることにも高いニーズがあります。日々膨大なレシート枚数になりますので、ここでもやはりレシートOCRでの自動解析は欠かせません。膨大な画像データが即時に膨大なビッグデータになるわけです。
今後、どのように展開していきたいですか?
山口さん:もっとより多くのユーザーに知っていただき、サービスの規模拡大だけてなく、ニッチだけどとてもいい商材を世の中に出すためのサポートをするなど、メーカーや小売店舗をエンパワーメントし、ひいては社会にも貢献できるサービスにしていきたいと考えています。
多くのユーザーがもっと当たり前に、オフラインで楽天のクーポンを使う世界線を実現していきます。
アイエスピーに期待することがあれば教えてください。
山口さん:アイエスピーさんには、サービスの立ち上げ当初からずっとお世話になってきました。ここ数年でもAIによるOCRの解像度がどんどん高まり、「Rakuten Pasha」のサービスを技術面で下支えしてもらっています。レシート読み取り技術の進化が、サービスの価値向上に繋がるので、これからも事業パートナーとして一緒に取り組み続けていきたいですね。
貴重なお話をありがとうございました。